PROJECT
伊豆の玄関口となる
道の駅をつくる
道の駅「伊豆ゲートウェイ函南」プロジェクト
伊豆半島の付け根に位置する函南町。このまちに2014年、PFI事業による道の駅の新設の話が持ち上がります。これが、加和太が代表企業を務めることになる最初のPFI事業です。このプロジェクトに参加した営業部、土木部、建築部、施設運営事業部のメンバーたちはそれぞれどのような役割を果たしたのでしょうか。どのように力を合わせ、2017年5月のオープンにたどり着いたのでしょうか。当時の中心メンバー4名に集まってもらい、彼らが直面した苦労や喜び、そして今後の加和太のまちづくりの可能性を語ってもらいました。
※PFI事業…Private Finance Initiativeの略。公共サービスを提供する公共施設や設備の設計、施工、運営、維持管理などに民間の資金と経営力、技術力を活用する手法
PROJECT MEMBER

鈴木 剛
専務取締役/営業部
1998年入社
入社以来、営業として会社を支え続け、2016年より加和太建設の専務取締役を務める。今回のプロジェクトでは、自ら先頭を走りながら全体を統括する役割を担った。

石水 健一
土木部
2002年入社
今回のPFIのプロポーザル発表直後からプロジェクトメンバーの一員として関わり、道の駅を建設するエリアの土木工事では現場責任者として指揮をふるった。

橋本 伸一郎
建築部
1995年入社
施工管理のプロフェッショナルとして、様々な建築工事に携わる。本プロジェクトでは提案段階は技術面から計画をサポートし、施工時は現場所長として工事全体を取り仕切った。

加藤 雅経
施設運営事業部
2014年入社
施設運営事業部部長であり、道の駅伊豆ゲートウェイ函南の駅長。加和太建設に入社する以前はJAでの勤務や野菜づくりの経験を持つ。駅長として、施設およびスタッフの管理を行っている。
加和太初の
PFI事業への挑戦がはじまる。
このプロジェクトがはじまった経緯と皆さんの役割を教えてください。
鈴木
2014年の伊豆縦貫道函南塚本インターチェンジの開通をきっかけに、函南町がこのエリアで道の駅事業に挑戦したいという話が持ち上がりました。しかも、当時の町長からは「民間のノウハウを活用するPFI事業として行いたい」と。その頃、加和太ではまだPFIの経験はありませんでしたが、その前年に「大社の杜みしま」という商業施設を自分たちで企画し、運営までこぎつけた実績があったので、「まずは話を聞きに行こう」となりました。ただ、加和太だけでは形にできないため、設計事務所をはじめ、様々な会社に声をかけ、うちが代表企業として提案を行うことになったのです。土木部の石水と建築部の橋本に声をかけたのもその頃だよね?
石水
はい。ただ当時はPFIと聞いても「何、それ?」という感じでしたね(笑)。「次の現場は函南か」といった程度です。でも、計画段階の会議から参加させてもらい、通常の公共事業とは異なるプロセスを知ることができたのは良い経験でした。
橋本
私は、専務から声のかかる一つ前の案件もPFI事業でした。ただ、そちらは結局、提案したものの形にならなかった。だから、「よし、今度こそは!」という気持ちでしたね。
加藤
私は提案のときはまだ別の部署で野菜をつくっていました。道の駅で野菜などを売る物産販売所をつくるという話をきっかけに声がかかり、「地元の農家と関わりながら、新しいお店をつくれるなら!」と参加を決めたのです。まさか、そのあと、自分が道の駅の駅長になるとは思っていませんでしたけどね(笑)。
最大のピンチが、
最大の勝因を生んだ。
加和太初のPFI事業の提案は順調に進んだのですか?
鈴木
説明会には30社ほど参加していましたが、最終的に加和太と全国に支社を持つフードサービス関連の大手企業の2社に絞られました。誤算だったのは、私たちが協力をあてにしていた地元の有力企業が軒並み、その大手企業に取り込まれてしまったこと。まあ、当時、PFI事業の実績がひとつもない加和太と大手企業を比べたら、そっちに付きますよね(笑)。
橋本
そうでしたね。提案書の中には、加和太をバックアップしてくれる会社や、うちの計画に関心を示してくれる会社を書かなければならないのに…。
鈴木
そう、いきなりの大ピンチ(笑)。結局、加和太のメディア部門を担当するメンバーにお願いして、彼のネットワークで地元の農家さんや個人でお店を経営している方々のところを一軒一軒回ってもらいました。そうしたら、皆さん、「協力しますよ」と好意的で。最終的にものすごい数の※関心表明が集まったのです。
※関心表明…公募事業の実施主体に対して、その事業に関心を持っていることを表明すること。
石水
バックアップ企業には、日頃一緒に仕事をしている土木・建築会社が何社も手を上げてくれましたよね。
鈴木
本当にうれしかったし、うちに決まった最大の勝因だろうね。加和太の計画には地元の人たちが大きな期待を寄せている、と。あとは、建物のデザインも評価された点だと思います。
建物のデザインではどのような工夫をされたのですか?
橋本
建物をロの字型に配し、中央にスペースを設けることで、そこをイベント広場として活用できるようにしたんです。通常、道の駅というと、観光客をメインとした物販中心の施設をイメージすると思いますが、我々の提案では、この地域の人たちも気軽に訪れ、楽しく利用できる場所を目指していました。
加藤
そもそも、今回の道の駅の目的は「地元の活性化」。税金も使っているし、町民のメリットをしっかり議論する必要がありました。私も途中から自治体の職員の方々との会議に毎回参加し、運営責任者の立場から「ああでもない、こうでもない」と議論しましたね。
鈴木
加藤さん、意外とはっきりと意見を言うよね(笑)。
加藤
いや、自治体の人たちの要望もわかりますが、それを全部聞いていたら、最終的に良い道の駅にならないと思ったのです。
石水
たしかに。PFI事業では会議の度に設計図面を少しずつ変更していくことも多いので、土木や建築の立場からも工期や予算を考え、やれること、やれないことはきちんと伝え、調整していかなければならない難しさはありましたね。
施工、出店依頼でも、
PFIならではの苦戦。
そうした変更は施工段階でも続いたのですか?
石水
そうですね。たとえば、この道の駅の外構部の歩道の細かいデザインは、現地で私と植栽屋さんで決めました。様々な会社とその都度話し合いながら進めるのはPFIならではの面白さだと思うのですが、まあ、そのぶん工期が厳しくなってしまいますよね…。
橋本
そう。工期が厳しくなって様々な工事が重なってしまい、資材や機材のスペースを確保するのは大変でした。にもかかわらず、途中、大雨の影響で工事がさらに遅れたり。今回は技術的な苦労は少なかったですが、工期には追われ続けましたね。
加藤
施設運営では、出店依頼に苦労しました。今でこそ、近隣に観光施設も2つあり、賑わいを見せていますが、この道の駅ができる前は田んぼしかない土地。ここにお店を出してもどのくらいの来客があって、売上が見込めるのか想像がつきづらかったんでしょうね。出店してくださるお店がなかなか決まりませんでした。
鈴木
だから、最後は「うちでやるしかない!」ということになったんです。「いず鮨」と「Spoke Cafe(スポークカフェ)」の2店舗は加和太が運営している飲食店です。
加藤
加和太としても寿司屋は初めて。でも、同じ社内に建物をつくる人も使う人もいるのは強みですよね。要望も伝わりやすいし、何かあったときの対応も早いですからね。社員の方々がよく家族を連れて利用してくれるのも、うれしいですね。あと、繁忙期には若い社員がアルバイトがてら手伝ってくれるのは、非常に助かっています。
橋本
建築部の若手も先日、「夏休みにアルバイトしてきました」と言っていました。で、さらに「あそこの導線がちょっと気になります」とか「この扉の調子が悪いです」とか言われてしまって(笑)。近々、改善に伺います。
加藤
ありがとうございます(笑)。
オープンの喜び、
加和太のまちづくりの未来。
本当に、加和太の会社が一つになってやっている感じですね。
鈴木
そうですね。オープンのときも、かなりの数の社員に手伝ってもらいました。GWということもあって、初日からすごい人。道路も大渋滞だったので、私は結局、オープニングセレモニーを途中で抜け出し、初日はスーツ姿のまま1日中、旗をふって駐車場の誘導係をしていました。で、次の日からTシャツに着替えて毎日、旗ふりです(笑)。
石水
専務、連休明け、真っ黒に日焼けしちゃってましたものね。
鈴木
ハワイ帰りかよってくらいにね(笑)。でも、本当にありがたいことに初年度は年間70万人の来客予測に対し、最終的に140万人。今年は180万人に届きそうです。地元の人もよく訪れてくれているし、いい流れができていると思います。
ちなみに、今後、この施設をどうしていきたいですか?そして、これから入社してくる人たちに伝えておきたいことは?
加藤
今後は、「これがあるから、ここに来た!」と目的を持って訪れたくなるような道の駅にしたいですね。函南町の果物を使った集客方法やこのまちならではのイベントを企画し、伊豆の玄関口として誰もが立ち寄りたくなる一大施設にしていきたいですね。
鈴木
この道の駅を中心にまちを元気にしたいよね。加和太としても、ただ単に利益を得られればいいではなく、この地域のために施設を盛り上げていきたいよね。
橋本
そうですね。今回、改めて、加和太が自治体と一緒になって取り組むと、こんなにまちを活性化できるんだというPFI事業の土台づくりができたと思います。
石水
営業も土木も建築も運営もいて、会社全体でプロジェクトを動かしている。地域の一つの建設会社でこれだけの規模の事業を提案し、形にできる点はアピールしたいですね。
鈴木
「チーム加和太」の団結力と人の温かさはどこにも負けません。これからも加和太にしかできない事業をどんどん打ち出していく。すでに、他の自治体からもPFI事業の相談がきています。ぜひ、これから入社してくる皆さんと一緒に挑戦したいですね。
チーム加和太によるPFI事業への挑戦。面白い話を聞かせていただき、本当にありがとうございます。