PROJECT
狩野川流域の安全を
様々な形で守る。
狩野川河川維持修繕プロジェクト
静岡県伊豆半島を流れる一級河川、狩野川。この河川は豊富な水量と良好な水質によって地域に様々な恵みをもたらす一方、独特の地形によって古くから洪水が多発。1958年の狩野川台風では流域に甚大な被害を与えました。加和太建設はこの狩野川の堤防修繕工事などを昔から担当し、2016年からは河川維持修繕事業として国土交通省から巡視業務なども含めて委託されるようになります。その中心メンバーである土木部の若手からベテランまで6名の土木部社員に集まってもらい、その事業内容や一人ひとりの思いを語り合ってもらいました。
PROJECT MEMBER
勝又 雅臣
1995年入社
新卒から加和太建設一筋。この道25年の土木のプロフェッショナル。狩野川維持修繕事業では現場責任者としてチームを牽引。事故のない任務遂行と地域の安全管理を徹底している。
笹原 千裕
1995年入社
東京の土木会社を経て地元静岡にUターン。三島建設業協会の土木災害対策委員も務め、災害関係の事案について国土交通省・静岡県・三島市との窓口となり、必要な情報をいち早く共有する役目を担う。
坂口 宏治
2014年入社
土木のプロとしての道を歩み続け、5年前から加和太建設の一員に。巡視業務では、現場班の状況を把握し、的確な指示を出す。外部との連携役も務めるなど、司令塔として活躍する。
鈴木 陽人
2018年入社
静岡県沼津市出身。高校の土木科で学んでいる時から、様々な土木工事に携われることで有名な地元建設会社として加和太に興味を持つ。現在、入社2年目。巡視業務も経験し、成長中。
杉山 大樹
2019年入社
静岡県長泉町出身。大学では経営学を専攻。誰もが利用する道路や橋をつくることで地元に貢献できる土木の仕事に魅力を感じ、入社。日々、堤防の維持修繕業務にあたる。
通常時と緊急時。
2つの業務で河川流域を守る。
そもそも、河川維持修繕事業とはどういうものなのですか?
勝又
通常時と緊急時、大きく2つの業務があります。通常時は狩野川の堤防の草刈り業務に加え、経年劣化による堤防などの構造物の修繕業務を行います。また、大雨や台風などの緊急時は、堤防にクラックやひび割れといった破堤の要因となる現象が生まれていないかを目視で確認して回る巡視業務、さらには出動要請を受けて現場で対応に当たる業務があります。
杉山
入社1年目の僕は草刈り業務を担当しています。早朝から一日中ずっと河川敷の草を刈り、夕方に機械でトラックに積み上げ搬出するんです。
勝又
加和太建設が担当しているのは、道の駅・川の駅のあるここ函南町から沼津市の河口までの約12km。堤防法面の面積で換算すると約70万㎡。杉山は入社後「何をやらせるんだ」って思わなかった?
杉山
いや、「草が伸びていると巡視したときに堤防のひび割れなどの異常も見つけにくいし、草刈りしながらチェックする役割もあるんだ」と最初に草刈りの目的を聞かされていたから、気になりませんでしたね。むしろ、堤防を守るために刈っていると思うと、すごい仕事を任せてもらってるなあと思いました。
勝又
いい心がけだね。あと、緊急時の巡視業務や出動要請に関しては、国土交通省の管轄のもと、2016年から維持修繕事業の一環として任されるようになりました。
近年、大雨や台風による被害のニュースも多いですものね。
笹原
先日も東伊豆に大雨が降り、「川の増水によって護岸が崩れ、浄水設備の取水口を塞いでしまっているから対応してほしい」と国土交通省から緊急出動の要請が入ったんです。そこで、真夜中にポンプ車で現地に駆けつけ、川から直接、浄水場に水を送るという作業を行ってきました。
勝又
災害時の初期対応って、じつは消防や自衛隊じゃなく、昔から地域の建設会社が担っていることが多いんだよね。
笹原
そうですよね。破堤して洪水が起きてしまったとき、堤防の復旧をする作業をしているのも地域の建設会社ですからね。テレビのニュースではまったく報道されないけど(笑)。地域を守っている自負はあるよね?
一同
はい。
それぞれの緊急出動。
それぞれの思い。
通常時の作業も大変そうですが、緊急時の巡視や出動要請は輪をかけて大変そうですね。皆さん、印象に残っている出来事はありますか?
鈴木
僕は台風がきたときの巡視業務で、夜中の2時に連絡が入り、朝9時まで河川の堤防の様子を見て回ったことですね。
勝又
ああ、あれは大変だったよね。日曜日の夜で次の日は早朝から自分の現場に行かなければいけないから、早く寝てたんだよね?でも、彼は文句一つ言わず、夜中でも起きて着替えて30分以内に現場に急行してくれたんです。本当にありがたいね。
鈴木
最初の出動要請のときは何をするのかよくわからないまま行ってましたけどね(笑)。
杉山
じつは、僕はまだ出動要請は一度もなくて…。先輩たちの様子を見ているので、覚悟はできているつもりなんですが、アドバイスとかありますか?
笹原
うーん。やっぱり、自分たちが「地域の人たちの安全を守っている」と思うことじゃないかな。何度出動しても慣れるものじゃないし。
勝又
そうだね。慣れると油断が生まれるから危ない。坂口さんはどの出動が印象に残ってますか?
坂口
加和太が巡視をはじめて1年目の頃。台風が停滞して長い雨が続き、一晩中、対応に追われたときですかね。私はいつも巡視の際は本部にいて、各現場を巡回している班からの連絡を取りまとめつつ、抜け漏れがないよう次の移動の指示を出すのですが、その采配には毎回苦労しますね。初めのうちは本当に上手くいかなくて、実務の中で少しずつ学んでいます。
まさに、警察や消防の指揮官みたいな仕事ですね?
坂口
そうですね。警察や消防も巡視を行っています。ただ、向こうは危険な箇所に人が近づいていないかといったことを中心に見て回るのに対し、私たちは土木の観点から堤防などの構造物がきちんと機能しているか、ひび割れなどの異常がないかといった観点から見て回ります。もちろん、取り残されている人を発見したら、すぐ消防や警察と連携しますけどね。
笹原
東日本大震災や熊本の地震でもきっとそうだと思うんです。自衛隊の出動要請の前に絶対、地域の建設会社が初期対応をしています。道路が瓦礫で埋まって緊急車両も通れない。となると、地域の建設会社がショベルカーを運んで道路の啓開作業を行うんですよね。そういう部分は、もっと知ってほしいなあ。
この地を守りたい。
土木は、みんなのために。
皆さんは、どうして地域のためにそこまでできるんですか?怖くはないんですか?
坂口
いや、正直、怖さもあります。この地域は大地震や津波が起こったら、とくに被害が大きいとされる地域なので、自分たちが被災する可能性も十分にあります。
笹原
でも、地域に根付いている建設会社なので、災害が起きたら行かなきゃいけないんです。土木の仕事って、そのくらい地域に密着しているものだから。
勝又
そうだね。土木は、みんなのためにやる仕事。そんなモチベーションは持ち続けたいな。
杉山
僕はこの辺りが地元なので昔からの友人の実家もありますし、結婚して家族と住んでいる友人もいる。自分の身近な人はもちろん、この地域に住む人たちのつながりを守っていると思うと、この仕事に誇りが持てます。
鈴木
僕も地元。狩野川の堤防は子供の頃よく遊んだ場所です。危険でもありますが、同時に市民の憩いの場でもある。だから、守りたいんですよね。
加和太の土木はまちを守り、
挑戦を続ける。
若手二人からこういう話を聞いて、先輩たちはどうですか?
勝又
うれしいね。川がないとまちは発展しない。僕たちはまちを守りながら、まちをつくってもいるんだよね。
坂口
建設会社を見る目が少しでも変わってくれるといいですよね。公共工事と聞くと、税金の無駄遣いと思う人がいるけれど、安全なまちづくりには欠かせない。それに、建設業って建設会社だけではなく、そのまわりに資材を運ぶ運送会社など、様々な人たちが関わっていて、まちに大きな雇用も生み出しています。
笹原
様々な協力会社が同じ目的のもと、現場に集まっている。建設業は横のつながりが強くて、会社は違っても、みんなで地域を守っている意識はあるよね。一方で、加和太建設ならではの特徴も見えてきますよね。
勝又
そうですね。今回は狩野川流域を守る話をしてきたけれど、加和太建設の土木部自体が新しいことへの挑戦も多いというのは特殊かもしれません。
というと?
勝又
加和太の土木部は三次元設計データを使ったICT土工にも力を入れているし、常に新しいものに挑戦しようという風土があります。若い人たちも早くから活躍するチャンスがたくさんある。
鈴木
それは、すごくわかります。
勝又
そう。だから、これから土木の世界に入ってくる人たちには、地域の安全を守りながらも、どんどん臆せず新しいことにトライしてほしい。加和太建設の先陣を切ってもらえたらと思います。
「加和太の土木は守りながら、新しいことへの挑戦もできる」ですね。今回は、初めて聞かせてもらえる話が多く、勉強になりました。皆さん、お忙しいなか、ありがとうございました。